日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの塩感受性変異体 (rss) の単離とその特性解析
*小川 大輔阿部 清美杉本 和彦宮尾 安藝雄水谷 恵森上 敦服部 束穂廣近 洋彦武田 真
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p. 494

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抄録
塩、乾燥、低温といった環境ストレスに対する単子葉植物の耐性機構を明らかにすることを目的として、私たちは、単子葉モデル植物であるイネを用いた分子遺伝学的な解析を行っている。これまでに、イネの内在性レトロトランスポゾン (Tos17) の挿入変異系統群から3種の塩感受性変異体 (rice salt sensitive; rss) を同定した。塩、高浸透圧、低温ストレスに対してそれぞれ感受性を示すrss1変異の原因遺伝子RSS1を同定したところ、既知の機能ドメインをもたない、新規なタンパク質をコードしていた。RSS1相同遺伝子は、単子葉植物で高度に保存されている他、原始被子植物や裸子植物にも存在するが、双子葉植物からは見出されていない。rss1では、塩ストレス存在下において、野生型に比して顕著に生長が阻害されるのみならず、根の分枝パターンや分裂組織の形態に異常がみられる。またRSS1は、野生型イネの分裂組織や葉の幼原基など、若い成長の盛んな組織でより強く発現する。RSS1は、未知の環境ストレス耐性機構に関わる因子であることが示唆されるが、現在、その分子機能の詳細について解析を進めている。また、rss2rss3についても、変異体の特徴づけを行い、原因遺伝子の単離同定を目指している。
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© 2007 日本植物生理学会
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