日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

葉緑体型RNA結合タンパク質の導入によるタバコの耐塩性強化
赤塚 宣史*山田 晃世小関 良宏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 493

詳細
抄録
当研究室では、大腸菌を用いた機能スクリーニング法により塩生植物由来の耐塩性関連遺伝子の探索を進めて来た。その結果、アイスプラント(Mesembryanthemum crystallium)の葉から作成した cDNA ライブラリーから葉緑体型RNA 結合タンパク質(McRBP)をコードすると考えられるcDNA を導入した大腸菌に顕著な耐塩性の向上が認められた。同タンパク質の機能解析を進めた結果、McRBPはRNAに対する結合能を有し、大腸菌内でRNAシャペロン様の活性を有することが確認された。次に、McRBP を過剰発現するタバコを作出し、それらの耐塩性の評価を試みた。その結果、非ストレス条件下において、野生株とMcRBP形質転換タバコに生育の違いはほとんど認められなかったが、150 mM の NaCl を含む水を与え続けた場合、野生株に比べMcRBP形質転換タバコに顕著な生育が認められた。アイスプラントの葉におけるMcRBP mRNA の発現量を real time RT-PCR で調べた結果、McRBP mRNAの発現は塩ストレスやアブシジン酸の添加により誘導されることが確認された。
以上の結果から、McRBPは、アイスプラントの塩ストレス下での生育に重要な役割を担っているものと考えられた。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top