日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアにおける代謝間の相互調節機構
*Sato HanayoStockel JanaLiberton MichellePakrasi Himadri B.Sonoike Kintake
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p. 559

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抄録
シアノバクテリアを含む光合成生物は光や栄養条件に応じて複数の代謝系を同時に最適化する必要がある。この調節には調節因子が必要だと考えられるが、これまでにそのような報告例は少ない。我々は、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803において窒素欠乏時の応答であるフィコビリソーム分解の調節因子であるNblAが強光時の光化学系量比調節に関与することを明らかにした。このことは同一因子が異なる代謝系の調節に関与することを強く示すものである。窒素固定能を有するシアノバクテリアCyanothece ATCC 51142 はこのような複数の代謝調節を昼夜サイクルにおいて常に行っている。Cyanothece ATCC 5114は日中光合成、夜間に窒素固定を行う。昼はグリコーゲンを蓄積し、夜はそのエネルギーを用いて窒素固定を行い、窒素をシアノファイシンの形で蓄積している。Cyanothece ATCC 51142のゲノム解読と遺伝子のアノテーションはほぼ完了しており、経時的なDNAマイクロアレイ解析やハイスループットのプロテオミクス解析を行っている。これらの網羅的な解析によって得られたニトロゲナーゼの発現量の周期性は実際のニトロゲナーゼの活性時期と合致していた。これらの解析を通して、異なる代謝系を調節している因子を探索していきたいと考えている。
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© 2007 日本植物生理学会
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