日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC6803 におけるsll1330を介したfructose-1.6-bisphosphate aldolase (fbaA) 遺伝子の発現調節
田部井 陽介*岡田 克彦都筑 幹夫
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p. 560

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抄録
Synechocystis sp. PCC6803 は光独立栄養でも従属栄養でも生育が可能であるが、従属栄養的生育では(炭素源となるグルコース存在下で)1日5分程度の光照射が必要である。これまで、従属栄養条件下における光照射の効果を解析し、解糖系酵素の1つであるfructose-1.6-bisphosphate aldolase 遺伝子fbaA の発現に光照射が必要なことと、その発現調節に sll1330が関与していることを報告した(日本植物生理学会年会2006)。
sll1330はHTH型のDNA結合部位とリン酸化受容部位のモチーフを持ち、レスポンスレギュレーターをコードすると推定されるORFで、グルコース添加、光照射条件下で発現が誘導された。この遺伝子の破壊株(Δsll1330)は光独立栄養条件下では野生株と同様の生育を示すが、光活性化従属栄養条件下でほとんど生育できなかった。野生株ではfbaAの発現は光照射により誘導され、特に、グルコース存在下で大きく誘導された。この光照射によるfbaA遺伝子の転写促進はsll1330破壊株では抑えられた。破壊株におけるfbaAの発現は、連続光条件下では野生株と同様であった。このことから、PCC6803のfbaAは連続光照射下、即ち光合成が機能している条件と、短時間の(数分程度)のパルス光で異なる発現調節を受け、sll1330はパルス光下でのみ働くことが示唆された。さらに、sll1330はfbaA以外の遺伝子発現の調節にも関与していることも明らかとなった。
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© 2007 日本植物生理学会
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