日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatusのLtnT輸送体活性制御機構の解析
*前田 真一杉田 千恵子杉田 護小俣 達男
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p. 565

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抄録
ラン藻Synechococcus elongatusには、ABC型の硝酸イオン輸送体(NrtABCD)に加えて、潜在的に硝酸イオンを輸送することのできるSulPファミリー輸送体(LtnT)が存在し、LtnT輸送体の活性はLtnA, LtnB, LtnCからなるHis-Aspリン酸基リレー型情報伝達系によって制御されている。昨年の本学会では、自己リン酸化したLtnBのリン酸基がLtnAを介してLtnCのN末端のHisKAドメインに受け渡され、LtnCが多量体構造をとった時に、多量体化したLtnCのC末端領域によってLtnT輸送体が活性化されることを報告した。ltnABC遺伝子クラスターの下流には、そのC末端にLtnCのC末端領域と相同な領域を持つタンパク質(LtnD)をコードしている遺伝子が存在する。LtnDのC末端領域を二量体を形成することが知られているグルタチオンSトランスフェラーゼとの融合タンパク質としてラン藻細胞内で発現させると、LtnCのC末端領域を融合タンパク質として発現させた時と同様にLtnT輸送体が活性化された。また、ltnBに変異がおこりLtnT輸送体が常に活性化状態にある変異株においてltnDを破壊しても、LtnT輸送体の活性は維持されたままであった。これらの結果は、LtnDがLtnB→LtnA→LtnCの情報伝達系とは独立した経路で、LtnT輸送体の活性制御に関わっていることを示している。
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© 2007 日本植物生理学会
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