日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリア Rivularia sp. に見られる屈光性
*片山 光徳小林 真理池内 昌彦
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p. 566

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抄録
屈光性は生物の生長方向が光の照射方向に関連した向きへと変化する反応であり、植物やヒゲカビ、フシナシミドロなどの真核生物において広く観察されている。しかし原核生物において屈光性に相当する反応が観察されたという報告はほとんどないようである。最近、我々は極性を持った糸状体を形成するシアノバクテリアの一種 Rivularia sp. IAM M-261株の糸状体の先端が光の照射方向に向かって伸長することを見いだした。本シアノバクテリアの糸状体は運動能力を持たず、従ってこの反応は正の屈光性に相当するものであると我々は考えている。
この屈光性の誘導には白色光が最も有効であったが、単色光(400nm-750nm)では誘導されず、青、緑、橙、赤色光をそれぞれ背景光として糸状体の下方から照射しながら、単色光を糸状体側面より照射することにより単色光への屈光性を誘導することができた。これによると、緑色、橙色、赤色背景光の下では紫色-青色光に対する正の屈光性が誘導され、一方青色光を背景光に用いた場合には、さらに緑色-橙色光に対しても正の屈光性が観察された。背景光の一部は糸状体を成長させるためのエネルギー源として必要であると考えられる。負の屈光性は現在までのところ観察されていない。
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© 2007 日本植物生理学会
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