日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ、コムギ、トウモロコシGSTの比較解析と除草剤解毒機能
*高橋 加奈Zhang Qin作田 正明Riechers DeanGoldsbrough Peter
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 573

詳細
抄録
グルタチオン S トランスフェラーゼ(GST)は、植物の防御機構においていくつかの重要な役割を担っていると考えられているが、その一つとして除草剤の解毒機構への関与が知られている。トウモロコシなどの単子葉植物では、除草剤緩和剤がGSTの発現を誘導し、これによって植物の除草剤耐性が高まることが報告されている。一方シロイヌナズナでは、除草剤緩和剤によっていくつかのGSTが誘導されるが、その発現量の増加により除草剤耐性は影響を受けない。我々は、このような緩和剤誘導性GSTの除草剤解毒機能の多様性に注目し、3種類の異なる植物のGSTについて比較解析を行った。除草剤緩和剤による誘導が確認されている、AtGSTU19 (Arabidopsis thaliana)、TtGSTU1 (Triticum tauschii)、ZmGST4 (Zea mays) のそれぞれを35Sプロモーターと共にシロイヌナズナに導入し、過剰発現させた。その結果、ZmGST4組換え植物体では、chloroacetamide除草剤に対する強い耐性がみられた。AtGSTU19組換え植物体では、CDNBに対して高いGST活性が示されたものの、除草剤に対する耐性は見られなかった。これらのことから、シロイヌナズナで緩和剤の効果が見られないのは、chloroacetamide除草剤の分解に関わるGSTが誘導されないためであると考えられる。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top