日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キュウリ芽ばえの内皮でのオーキシン排出キャリアCsPIN1タンパク質局在パターンの重力応答性
*藤井 伸治矢内 健一堀田 拓哉宮沢 豊高橋 秀幸
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p. 582

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抄録
キュウリの種子を水平に置いて発芽させると,胚軸と根の境界領域 (Transition zone;TR領域) の下側にペグと呼ばれる突起状の器官が形成される.一方,垂直に種子を置き発芽させると,TR領域の両側に1つずつ,計2個のペグが形成される.我々はこれまで,水平に発芽させた芽ばえのTR領域の上側のオーキシン量は下側に比べて少ないこと,オーキシン排出キャリアの阻害剤を処理すると,水平に発芽させた芽ばえにおいてもTR領域の両側に1つずつ,計2個のペグが形成されること等から,水平に発芽させた芽ばえのTR領域の上側で重力刺激に応答してオーキシン排出キャリア依存的にオーキシンが減少し,ペグ形成が抑制されることを示してきた.本研究では,TR領域における重力刺激に応答したオーキシン分布の調節機構を理解するために,TR領域での重力感受細胞であると推定される内皮で発現するオーキシン排出キャリアCsPIN1タンパク質の局在を免疫組織学的に解析した.その結果,ペグ形成を開始する吸水後24時間目の水平に発芽させた芽ばえにおけるTR領域の横断切片の内皮細胞でのCsPIN1タンパク質の局在パターンは,垂直に発芽させた場合と異なっていた.したがって,内皮での重力方向に依存したCsPIN1の局在パターンの差異が,重力刺激に応答したTR領域のオーキシンの分布の変動に関与する可能性が考えられた.
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© 2007 日本植物生理学会
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