日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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セミアミロペクチン産生 Cyanobacterium sp. MBIC 10216 における枝作り酵素の特性
*鈴木 英治小出 圭一高橋 秀和鈴木 倫子北村 進一藏野 憲秀中村 保典
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p. 631

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抄録
Cyanobacterium sp. MBIC 10216 を含む数種のシアノバクテリアは、グリーコーゲンではなくセミアミロペクチンと名付けられた特異な多糖を産生する。セミアミロペクチンは、グリコーゲンに比べて長い α-1,4-グルカン鎖を多く含み、またその分子量は、イネのアミロペクチンに近い。セミアミロペクチン産生の遺伝的背景を解明することを目的として、私達は MBIC 10216 株のゲノム配列を解析中であり、貯蔵多糖の生合成を担う主要な遺伝子群を同定しているが、その中に枝作り酵素 (BE) の活性に必要なアミノ酸残基を全て保持する遺伝子を 3 個 (BE1、BE2、BE3) 見出した。BE は一次構造上 GH13 ファミリーに属するが、多くのシアノバクテリアにおいて、このタイプの BE はただ 1 つしか見られないことから、MBIC 10216 株における複数の BE の存在は特異な性質であると考えられた。3 者の BE のアミノ酸配列を Synechococcus elongatus PCC 7942 株の BE 配列と比較した結果、相同性はそれぞれ 68% (BE1)、60% (BE2)、28% (BE3) であった。MBIC 10216 株の粗抽出液中には BE 活性は検出できないが、3遺伝子をそれぞれ組換えタンパク質として大腸菌に発現させると明確な BE 活性が認められた。そこで、合成アミロースを基質として各酵素の反応特異性を解析した。反応産物である α-1,6-分枝鎖の鎖長分布には各 BE アイソフォーム間で顕著な差異が認められた。
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© 2007 日本植物生理学会
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