日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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活性酸素消去系酵素を過剰発現させたラン藻における光合成の酸化ストレス耐性
*中野 愛野田 暁子奥山 英登志西山 佳孝林 秀則
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p. 652

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抄録
光合成の初期過程で不可避的に発生する活性酸素は、光化学系IIの修復に必要なタンパク質の新規合成を阻害する。本研究では、活性酸素に対する消去能力を高め、光合成の修復を向上させるために、Vibrio rumoiensis strain S-1 のカタラーゼ遺伝子 vktA および Synechocystis sp. PCC 6803 のスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子 sodB をラン藻 Synechococcus sp. PCC 7942 で過剰発現させた。vktA 過剰発現株は、弱光下において、1 mM H2O2 の存在下でも生育し、H2O2 に対する耐性が増大した。また、1 mM H2O2 の存在下で 500 μE m-2 s-1 の強光を照射した場合、vktA 過剰発現株は野生株より高い光化学系II活性を維持していた。さらに、タンパク質の in vivo ラベリング実験により、この酸化ストレス条件下で、光化学系IIの修復に必要なD1タンパク質の新規合成が促進していることが明らかになった。一方、 sodB 過剰発現株は 1.5 mM メチルビオロゲンの存在下でも生育し、スーパーオキシドに対する耐性が増大した。現在、vktAsodB を共発現させた二重変異株について、光化学系IIの酸化ストレス耐性を解析している。
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© 2007 日本植物生理学会
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