日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花粉特異的に発現するシロイヌナズナBOR6とBOR7の花粉管伸長における役割
*大森 弘之三輪 京子藤原 徹
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p. 671

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抄録
シロイヌナズナのホウ酸トランスポーターであるBOR1の6つの相同遺伝子のうち、BOR6とBOR7についての解析を行った。
まず、RT-PCRを行った結果、ホウ素十分条件、欠乏条件の違いに関わらず花序でBOR6とBOR7のRNAを検出した。また、BOR6、BOR7のプロモーター制御下でGUSを発現する形質転換シロイヌナズナをそれぞれ作出し、GUS染色を行ったところ、開花した花の花粉粒や受粉後の花粉管でGUS染色が認められた。
次に、BOR6のcDNAを酵母で発現させたところ、ベクターコントロールと比較して菌体内水溶性ホウ素濃度の低下が見られた。これよりBOR6がBOR1と同様にホウ素の細胞外への排出能を持つことが示唆された。
さらに、BOR6とBOR7のタンパク質の局在をGFP融合タンパク質の観察によって調べたところ、主に伸長している花粉管の先端に局在していることが確認された。
最後に、BOR6とBOR7の二重T-DNA挿入株を用いてin vitroで花粉を培養し、花粉管の長さを測定した。その結果、ホウ素欠乏培地で培養すると野生型に比べて二重挿入株では伸長した花粉管の長さが短かった。
これらにより、BOR6とBOR7は花粉に局在し、ホウ素欠乏条件下において花粉管の伸長に寄与するホウ素トランスポーターであることが示唆された。現在、BOR6とBOR7の働きについて詳細な解析を進めている。
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© 2007 日本植物生理学会
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