日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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雄しべで特異的に発現するシロイヌナズナEXL4及びEXL6遺伝子の解析
*佐々 路佳中村 研三石黒 澄衞
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p. 673

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抄録
花粉の表層にはポーレンコートというタンパク質や脂質に富む構造が存在する。ポーレンコートは、葯室の最も内側の層であるタペート細胞層が崩壊し、花粉の表面にタペート細胞内の物質が移動することで形成される。ポーレンコートは柱頭による同種花粉の認識に重要であるため、これがないと花粉は十分な稔性を持つことができない。
シロイヌナズナのEXTRACELLULAR LIPASE4(EXL4)及びEXL6タンパク質はGDSL型リパーゼに属し、ポーレンコートに大量に存在することが確認されているが、詳しい働きはまだ分かっていない。そこで、両タンパク質の機能の解明を目的として研究を行った。つぼみの発達段階ごとに分けてEXL4, EXL6遺伝子の発現を調べた結果、両遺伝子はつぼみの発達ステージ10から12の中期にかけて、すなわちタペート細胞内でポーレンコートの成分となる脂質が盛んに合成される時期に強く発現していることが分かった。また、両遺伝子の発現を抑制した株を作製したところ、稔性の低下が見られた。以上の結果はEXL4, EXL6両遺伝子がタペート細胞内で発現し、その遺伝産物はリパーゼとしてポーレンコートの脂質成分例えば遊離脂肪酸の生成に関与する可能性を示唆している。現在、それを確認するためポーレンコートを含む花粉表層構造の観察、ポーレンコートの脂質成分解析を行っている。
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© 2007 日本植物生理学会
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