日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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生殖器官におけるポリピリミジン領域結合タンパク質(PTB)遺伝子の発現と機能
*王 スーイー岡本 龍史
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p. 674

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抄録
Polypyrimidine tract-binding protein(PTB)はhnRNPファミリーの一つであるhnRNP typeIに属するRNA結合タンパク質である。動物細胞では、mRNAの細胞内輸送、代謝及び選択的スプライシングの制御といった様々な役割を担い、発生・分化などに深く関与することが明らかにされているが、植物におけるPTBの機能解析の報告例はない。発表者は、植物PTBの機能解析に向けた第一歩として、シロイヌナズナにおけるPTB遺伝子の発現部位をまず明らかにした。植物PTBタンパク質のデータベース検索及びそれらの系統樹解析により、シロイヌナズナにおいては2種のPTB (AtPTB1,2) が同定された。シロイヌナズナの各組織からmRNAを調製したのち、RT-PCR解析によりAtPTB1, 2の発現をみたところ、両遺伝子は生殖器官と栄養器官の双方で普遍的に発現していた。次に、AtPTB1プロモータ::GUS及び AtPTB2プロモータ::GUSコンストラクトを用いた形質転換シロイヌナズナをそれぞれ作製し、花器官における両遺伝子の発現を詳細に調べた。その結果、AtPTB1および2は主に成熟花粉粒と柱頭の乳頭部で発現し、さらに、胎座においても発現することが示されたが、胚発生過程においてはそれらの発現は見られなかった。変異体の単離・解析をすすめ、双方の変異体 (ptb1,ptb2) を得たが、これら変異体の発生・分化・成長には異常に見られなかった。現在、二重変異体(ptb1/ptb2) の作製中であり、この結果についても発表したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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