抄録
これまでに植物の概日時計の分子機構については、被子植物であるシロイヌナズナにおいて精力的に研究されてきたが、他の植物種での報告は非常に少ない。その為、植物における概日時計の共通性(保存性)あるいは多様性はほとんど分かっていない。そして、植物の概日時計の進化と起源は全くの謎である。そこで我々は、被子植物とは数億年前に分岐したコケ植物の一種ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)を用いて概日時計の解析を行ってきた。これまでにシロイヌナズナにおいては、時計遺伝子としてCCA1/LHY、TOC1 (PRR1)、PCL1 (LUX)などが単離されているが、このコケにも、これらの遺伝子のホモログが幾つかあることが明らかとなった。本学会では、コケのCCA1相同遺伝子(PpCCA1aとPpCCA1b)について発光レポーターによる発現解析、およびコケの持つ高効率な遺伝子ターゲッティングを利用した機能解析の結果を報告する。