抄録
【はじめに】骨密度の低下は、骨粗鬆症、さらに骨折や寝たきりの要因となるため、骨密度の低下を予防することは、生活管理上において、重要な課題である。当院ではリハビリテーション(以下,リハ)利用者に超音波骨評価法による骨密度の測定を行い、生活指導を実施している。今回、我々は生活指導に役立てるために骨密度の低下がどのような身体機能と関連しているかを分析した。【対象・方法】対象は当院の健診及びリハ利用者170名で、このうち右片麻痺32名、両麻痺4名を除いた134名(男45名、女89名)、平均年齢65.3±18.1歳(男:69.0±15.2歳,女:63.3±19.2歳)であった。調査項目は,年齢,性別,BMI,疾患区分(無し,脳血管障害,骨折,痴呆,その他),発症日,厚生省「障害老人の日常生活自立度」(以下,寝たきり度),痴呆性老人自立度(以下,痴呆度),移動能力(独歩・杖歩行・車椅子),超音波骨評価による骨密度(以下,QUS),下肢筋力(上記対象者でリハ対象者の内34名)であった。超音波骨評価は,アロカ(株)製超音波骨評価装置(AOS-100)を用いて右側踵骨を測定し,音響的骨評価値(骨密度と強い相関を示す、以下,OSI)を用いた。下肢筋力は,右側膝関節伸展筋力をアニマ(株)製徒手筋力計(μTas MT-1)を用いて,10秒間の等尺性収縮時の最大値を測定した。その他の調査項目は問診および診療録より収集した。解析方法はQUSと各調査項目との関連について単相関分析(Pearsonの相関とSpearmanの順位相関分析)を行い,次にOSIと移動能力・寝たきり度・下肢筋力との関連について重回帰分析を行った。OSIを従属変数,共変量を年齢,性別,体重,疾患区分,発症期間,痴呆度、移動能力・寝たきり度・下肢筋力とした。また、分散分析(Kruskal Wallis検定)をにより、疾患分類と骨密度(Zスコア)の関連をみた。【結果・考察】1.単相関分析でOSIは,年齢,性別,BMI,疾患区分,移動能力,寝たきり度,痴呆度と有意な関係であった。2.重回帰分析の結果,OSIの低値は高年齢、女性、低BMI、移動能力および寝たきり度の低下と有意な関連があったが、筋力とは有意な関連は無かった。これらの結果より,移動能力および生活自立度の維持は、骨密度と関連があり、障害者および高齢の身体機能の維持は、骨密度の低下予防につながると考えられた。