日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatus PCC 7942の概日時計入力系蛋白質Pexの高次構造に基づく機能解析
有田 恭平橋本 博猪狩 久美子赤星 万由子*沓名 伸介佐藤 衛清水 敏之
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p. 686

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抄録
ラン藻の時計関連遺伝子pexの欠損株の概日周期は、野生型より1時間短い。逆にpex恒常発現株の概日周期は約3時間長い。pex変異体ではkaiA mRNAが有意に蓄積していることや、Pexは転写因子群PadRファミリーに属すことから、PexがDNA結合因子として概日時計を調節していることが考えられる。Pex蛋白質の構造と機能の関連やDNA結合活性については明らかにされていないので、われわれは、Pex蛋白質のX線結晶構造解析を行った。生体内のPex蛋白質はN末端を欠く分子量13.5 kDaの蛋白質として存在することが示唆されていたので、N末端の14アミノ酸残基を欠くPex蛋白質を調製して結晶化したところ、良質の結晶が得られ、1.8オングストローム分解能のX線結晶解析に成功した。その結果、PexはDNA結合蛋白質によく見られるwinged-helix構造をしていることがわかり、ゲルシフトアッセイによりPex蛋白質がDNAに結合することを確認した。さらにPexがDNAに結合する上で重要であると予測されるArg106をアラニンに置換した変異型Pex(PexR106A)はDNAに結合しないことも確かめた。PexR106Aをラン藻内で恒常発現させ、その活性を概日リズムを指標にして調べたが、その株のリズムに異常は見られなかった。このことから、PexのDNA結合活性の重要性が示唆される。
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© 2007 日本植物生理学会
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