日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トランスクリプトーム解析から見えるFUS3による種子成熟過程制御機構
*山本(豊田) 章子加賀谷 安章田中 祥代堤田 久美子加賀谷 道子小嶋 美紀子榊原 均服部 束穂
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p. 694

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抄録
FUS3は種子成熟過程を制御する主要な転写制御因子のひとつである。FUS3による種子成熟過程の制御機構を明らかにするため、fus3突然変異体および野生型の未熟種子(開花後8日目および12日目)を用いてマイクロアレイ解析を行った。その結果、fus3変異体の未熟種子においては、オーキシン、ジベレリン、アブシジン酸、サイトカイニン等の植物ホルモンの合成・代謝、輸送、あるいはシグナル伝達に関与すると考えられる遺伝子ならびにその制御下にあると考えられる多数の遺伝子の発現が変化していた。例えばオーキシンに関連する遺伝子についてみると、fus3変異体においては、PIN7PIN3SUR2GH3様遺伝子群などオーキシン誘導性の遺伝子の発現が増加したのに対して、オーキシンシグナル伝達の負の制御因子であるIAA/AUXタンパク質のいくつかの遺伝子の発現は低下していた。一方、未熟種子におけるIAAレベルは野生型と変異体の間で大きな差はなかった。これらの結果を中心に、トランスクリプトーム比較から見えてくるFUS3の機能とホルモン制御に関して考察したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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