日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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WD40リピートを有したMSI1タンパク質の分子遺伝学的解析
*阪田 忠Berger Frederic
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p. 701

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抄録
msi1変異体は、受精することなく種子発生が進行する変異体の一つとして同定された。msi1変異体の雌性配偶体の内乳では、受精後の正常な内乳形成に必須な核の多核化は起きるが、多核化した核の細胞化が完了しない。この際MSI1はポリコームタンパク質複合体の構成分子の一つとして遺伝子の転写抑制を行っている。msi1変異体のホモ接合体は、種子発生の初期に致死となる。その他のポリコームタンパク質複合体の一つであるmedeaの完全機能欠失変異体では、植物胞子体が形成されるため、MSI1はポリコームタンパク質複合体の構成分子として以外の機能を有している可能性が考えられる。本研究では、WD40リピートを有したMSI1の植物個体の発生分化過程における細胞レベルでの役割を明らかにすることを目的とした。
アラビドプシスの受精卵からglobularステージの初期胚に至る過程の細胞分裂の回数と方向は遺伝的に厳密に制御されており、その結果、同様の形態の初期胚が形成される。msi1ホモ接合体初期胚のsuspencer細胞とhypophysis細胞は、分裂を停止せずに異常に増殖した。この時suspencer細胞は、特異的遺伝子Pin7などを正常に発現していた。抗MSI1タンパク質特異的抗体を作製して、細胞内におけるMSI1タンパク質の局在を解析した。その結果、MSI1タンパク質は核に局在しており、核内のドット状の構造に特に蓄積していた。このMSI1の細胞内の局在と機能の関係に関して報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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