抄録
ASYMMETRIC LEAVES2 (AS2) は N 末に cysteine に富む C-motif(CX2CX6CX3C)、Conserved-glycine、及び leucine zipper 様配列からなる特徴的な約100アミノ酸の保存領域( AS2 ドメイン)をもつ植物に特異的なタンパク質をコードしている。as2 変異体は左右非対称な葉身を形成し左右非対称かつシンプルな葉脈パターンを示す。 AS2 は地上部において、正常な葉脈パターンの形成や葉の左右の協調的細胞分裂に必要であると考えられている。器官別ノーザンブロット解析により、根においても葉と同程度のレベルの AS2 転写産物の蓄積が見られることがこれまでに示されているが、 as2 変異体の根には顕著な異常は見られない。根におけるAS2 の機能を解明するため、AS2 プロモーターでドライブした GUS 遺伝子を導入した形質転換体(ProAS2 ::GUS)を用いて AS2 の発現場所を解析した。その結果、地上部では茎頂分裂組織と発達中の葉の向軸側において GUS の染色が見られた。それに対し根においても GUS の染色が見られ、その発現は主根及び側根の根端に限定されていた。また、葉における GUS の染色は葉が生育するに従って弱くなり成熟した葉では消失したが根端での発現は消失しなかった。現在 as2 変異体および AS2 過剰発現体における根端を観察しており、これらの結果から根における AS2 の機能を考察する。