日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

種子発芽時にABA情報伝達を負に制御するシロイヌナズナPP2Cの相互作用タンパク質の探索
*吉田 知西村 宜之黒田 浩文松井 南篠崎 一雄平山 隆志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 738

詳細
抄録
アブシジン酸(ABA)は、種子の休眠や乾燥・低温などの環境ストレス応答に中心的な役割を果たす植物ホルモンである。我々は更なるABA関連突然変異体を分離する目的で、シロイヌナズナCol株を対象にABA類縁体PBI-51用いたスクリーニングを行いABA高感受性変異体ahg1~7(ABA hypersensitive germination)およびahg11~16を得た。このうち、マッピングによりAHG1AHG3がそれぞれAt5g51760およびAtPP2CAであることを明らかにし、その後の解析によってAHG1とAHG3が種子におけるABA情報伝達経路の負の制御因子としてはたらく事を証明した。さらに、AHG1は種子の成熟過程および乾燥種子で特異的に働きその機能は一部AHG3と重複することを明らかにした。これまでに複数のPP2CがABA情報伝達経路の負の制御因子であることが明らかになっているが、生体内の基質は不明であり、分子レベルでの機能はわかっていない。これまでに主に酵母ツーハイブリッド法によってPP2Cと相互作用するタンパク質が報告されている。我々はPP2Cの生体内の基質の候補を得る目的で、新たにプロテオミクス的手法によってAHG1およびAHG3と相互作用するタンパク質の探索を試みている。本学会では、以上の研究結果を照会すると共に、二次元電気泳動を用いたahg変異体のリン酸化タンパク質の解析、プルダウンアッセイによる相互作用タンパク質の探索についても報告する予定である。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top