日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CGS遺伝子発現の転写後自己制御機構:翻訳を停止したリボソームの解析
*門倉 嘉知原口 雄飛永見 陽子尾之内 均内藤 哲
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p. 789

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抄録
シロイヌナズナのシスタチオニンγ‐シンターゼ (CGS) をコードするCGS1 mRNAでは,メチオニンの代謝産物であるS-アデノシル-L-メチオニン (SAM) に応答して第1エキソンのコード領域内で翻訳中のリボソームが停止し,それと共役してmRNA分解が起こる.この制御はコムギ胚芽抽出液試験管内翻訳系において再現され,5’領域を欠いた複数種のmRNA分解中間体が蓄積する.分解中間体の5’末端の解析から,SAMに応答して停止したものを先頭に複数個のリボソームが連なって停止し,各リボソームの5’側内部でmRNA分解が起こることが示唆された.さらに先頭のリボソームでは転座の段階で翻訳の停止が起こり,部分翻訳産物であるペプチジル-tRNAはリボソームのAサイトを占める.
ピューロマイシンはリボソームのAサイトに作用する翻訳伸長阻害剤である.先頭のリボソームと後続のものを,部分翻訳産物の解析により区別して,ピューロマイシンに対する感受性を調べた.その結果,後続のリボソームはピューロマイシンに対する感受性が高かったのに対し,先頭のものでは低かった.本阻害剤の作用機構から,先頭のリボソームのAサイトはペプチジル-tRNAで埋まり,後続のものでは空であることが示唆された.
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© 2007 日本植物生理学会
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