日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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RuBisCOの量的制御に関わる因子群の同定
*小川 太郎青木 岳彦蘆田 弘樹横田 明穂
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p. 791

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抄録
植物は、葉窒素量の約4割を占める光合成律速因子RuBisCOの合成と活性化を厳密に制御し、光合成速度や窒素バランスを高度に調節している。RuBisCOの量的制御機構は、生合成と分解に関わる多様な因子群により達成されると想定されるが、その分子機構の全貌は明らかでない。本研究では、植物体地上部におけるRuBisCOの蓄積量が15~60%に低下した4系統のシロイヌナズナqrr (Quantitative regulation of RuBisCO) 変異体を解析し、原因遺伝子とRuBisCO量的制御の関連を考察した。暗黒下で4日間生育したqrr変異体に0, 30, 60時間の光を照射し、緑化過程におけるRuBisCO蓄積量と遺伝子発現量の推移を調べたところ、RuBisCOの転写段階に異常は無いが、RuBisCO蓄積量が常時低下している株(1)、光照射後期に低下した株(2)、低下していない株(3)に分類された。グループ1の原因遺伝子は、葉緑体スプライシング因子(CRS1)及び葉緑体移行シグナルを有する未知機能遺伝子であり、RuBisCO合成に関わると考えられた。グループ2と3の変異部位は、光呼吸酵素AGT1及び葉緑体移行シグナルを有する未知機能遺伝子上に有り、特に後者は下位葉におけるRuBisCO量の分解に関わるものと予想された。現在、qrr変異体の表現型と原因遺伝子の機能との連関について、より詳細に解析している。
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© 2007 日本植物生理学会
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