抄録
SUMOは、代表的なユビキチン様タンパク質であり、ユビキチンと類似した反応経路によって標的タンパク質に共有結合する。しかし、ユビキチン修飾の場合と異なり、SUMOによって翻訳後修飾された標的タンパク質は、分解されることなく安定化や、活性、局在の変換を受ける。シロイヌナズナにはゲノム上に8つのSUMO遺伝子が存在するが、ESTが報告されているのはAt SUMO1, 2, 3, 5の4つのみである。AtSUMO1, 2及びAtSUMO3については、ストレス応答性に違いがみられることから、それぞれのSUMO分子に機能的分担があることが示唆されている。本研究では、SUMO分子の機能分担についてより詳細な情報を得るために、各SUMO遺伝子の発現パターンを解析している。各組織においてRT-PCRを行った結果、AtSUMO1, 2については恒常的な発現が確認されたのに対し、AtSUMO3, 5においては組織特異性が観察された。また、根においてAtSUMO4の発現を確認できた。現在、GUSレポーター遺伝子を用いてより詳細な発現解析を進めている。さらに、SUMO化経路のE1酵素は、ユビキチン経路と異なりヘテロ二量体から構成されているが、シロイヌナズナにおいてはE1酵素に2つのアイソフォーム(AtSAE1a, b)が存在するため、これらについても発現解析を行い機能分担があるのかどうか検討している。