日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Chlamydomonas sp.W80株のシステインプロテアーゼの精製と性質
*臼井 雅敏宮坂 均田中 聡鈴木 款塩井 祐三
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p. 808

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抄録
新種の緑藻,Chlamydomonas sp.W80株は耐塩性,カドミウム耐性を示すことから既存のChlamydomonas類とは大きく異なっている.これまで,抗酸化能やストレス耐性の機構について研究されてきたが,それ以外の性質については余り報告されていない.数種の蛍光ペプチドを用いてW80株とC. reinhardtiiのプロテアーゼ活性を比較したところ,基質によって活性量および至適pHに大きな違いが見られた.本研究ではpH 8に至適pHをもつトリプシン様活性の基質となるBoc-L-R-R-MCAを選択し,W80株のプロテアーゼ(以下W80CPと略)の精製と性質の決定を行ったので報告する.W80CPは細胞より疎水性,陰イオン交換,ゲルろ過クロマトグラフィーを用いた5段階の精製により,3,061倍精製され,収率は2.6%であった.この酵素はシステインプロテアーゼの阻害剤であるleupeptinなどにより阻害がみられたが,PMSFやEDTAで阻害が見られず,また,金属による活性上昇も見られなかった.これらの結果よりこの酵素はシステインプロテアーゼであると判定した.Kmは上記基質に対して44.4 μM,ゲルろ過法による分子量は102 kと求められた.また,SDS-電気泳動による結果から,この酵素は2量体であると考えられる.今後はアミノ酸配列の決定,遺伝子のクローニングを行う予定である.
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© 2007 日本植物生理学会
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