日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるRNAiによるsde1遺伝子の発現抑制
*利田 賢次林 秀則
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p. 971

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抄録
 植物では外来遺伝子の転写量が多い場合、RNAサイレンシングが誘導されるため、外来遺伝子の過剰発現が困難である。シロイヌナズナのsde1遺伝子は、RNAを鋳型としてRNAを合成するRNA dependent RNA polymeraseをコードしており、外来遺伝子によって誘導されるRNAサイレンシングの必須因子である。そこでシロイヌナズナで導入遺伝子の過剰発現する形質転換体を得る目的で、sde1遺伝子の発現をRNA干渉によって抑制した。
 sde1遺伝子の第一イントロン(約400 bp)を含む約1.5 kbの領域をクローニングした。転写後にhairpin dsRNAを生じさせるために、このDNA断片の5’側約1.1 kbを、イントロンを挟むinverted repeat構造をとるように3’側に接続した。このDNA断片をアグロバクテリウムを介して、シロイヌナズナに導入した。T3世代のロゼット葉から抽出した全RNAを鋳型としてsde1遺伝子に特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行いsde1遺伝子のmRNAを検出した結果、sde1遺伝子のmRNAが野生株と比べて著しく減少した形質転換体が得られた。これらの株では、RNAiによってsde1遺伝子の発現が抑制されたと考えられ、外来遺伝子が過剰発現してもRNAサイレンシングの影響を受けない可能性がある。
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© 2007 日本植物生理学会
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