日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物分子イメージングの試み(2):複数種元素動態の同時イメージングを可能にする
*河地 有木藤巻 秀鈴井 伸郎石井 里美松橋 信平佐藤 隆博渡辺 伸武田 伸一郎高橋 忠幸
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p. 840

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抄録
必須元素や汚染物質等の植物中動態を経時的にイメージングする手法は植物研究に新たな知見を与え、生物学の分野での多大な貢献があった。その代表的手法には、放射性同位元素をトレーサーとして用い、その濃度分布をイメージングすることで植物体内の必須元素や汚染物質の分布を画像化する、オートラジオグラフィ、ポジトロンイメージング法などがある。しかしこれらの方法で画像化できる測定対象の元素は1種類に限られるため、複数核種を同時に捉え、競合する元素の同一環境下・同一個体内の植物生理反応をイメージングすることは不可能である。そこで原子力機構・JAXA・群馬大学の三者によってCdTe半導体ガンマカメラを開発した。これは従来のイメージング装置と異なり、高いエネルギー分解能(1%以下)を実現することでガンマ線を放出する複数の元素を同時にイメージングできる検出システムである。試作機によりタバコ1個体内の異なる元素分布の取得に成功し、本システムによって複数元素の同時イメージングが可能である事が示された。
このように我々は植物分子イメージング技術を開発することで、植物個体レベルでの代謝全体の流れを見るという研究手法の確立を目指している。植物分子イメージングにおける新規方法論として、本手法の可能性・展開について本会で討論したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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