抄録
心肺停止蘇生後患者の脳低温療法中はshiveringにより筋弛緩薬の投与が必要となることが多く,鎮静深度の評価は困難となる。今回,脳低温療法を施行した2症例に対し鎮静深度の指標としてbispectral index(BIS)値及び脳波を測定したので報告する。症例1は37歳,男性。脳低温療法中のBIS値60以下を目標に鎮静薬を投与した。脳波上はα波主体でBIS値と類似した変化を示した。脳低温療法終了後,早期に覚醒した。症例2は63歳,男性。脳低温療法中のBIS値が10以下であり,鎮静薬なしで管理した。脳波は平坦脳波を示し,神経学的予後は不良だった。BISは管理が容易であるが,脳に障害のある患者に対する鎮静深度の評価法としては確立されていない。しかしながら,BISを心肺停止蘇生後患者の脳低温療法中に使用したところ,鎮静深度の評価に有用であり,浅鎮静を避けることができた。BIS値0の場合は,神経学的予後不良の推定因子となる可能性が示唆された。