日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻Klebsormidium flaccidum の低温馴化に関与するスクロースリン酸フォスファターゼおよびグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子の単離
*長尾 学上村 松生
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p. 884

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抄録
寒冷地に広く分布し、陸上植物の祖先グループと考えられるシャジクモの仲間である緑藻Klebsormidium flaccidumの耐凍性は低温馴化により上昇し、それに伴って、数種の適合溶質が蓄積することを既に報告した (日本植物生理学会2006年度年会)。蓄積する適合溶質の中には、可溶性糖であるスクロースとアミノ酸の1種であるγ-アミノ酪酸 (GABA) が検出された。スクロースとGABAは、陸上植物の低温馴化による耐凍性上昇に関与していることが報告されている。細胞内でのスクロース合成にはスクロースリン酸フォスファターゼ (SPP)、GABAの合成にはグルタミン酸デカルボキシラーゼ (GAD) の両酵素が関与することが知られている。そこで、我々はSPPとGADの低温馴化過程における機能を調べるために、Degenerate PCR法を用いてK. flaccidumのSPPとGADをコードする遺伝子(KfSPPKfGAD) のcDNA断片を単離し、塩基配列を決定した。その結果から推定されるアミノ酸配列に基づく相同性検索を行ったところ、多数の陸上植物のSPP、GADとの間で高い相同性を示した。KfSPPKfGADK. flaccidumの低温馴化過程におけるスクロースとGABAの蓄積に関与していると考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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