抄録
植物が生合成する二次代謝産物の中には、細菌や動物に対して高い細胞毒性を示すものが数多く知られる。一方、これら生理活性二次代謝産物を生産する植物種では、自らが生合成する活性物質に対して耐性を有している。その耐性機構には、二次代謝産物の液胞への輸送・隔離や細胞質外への排出、配糖化による活性部位のマスキングなどが考えられる。キンポウゲ科のオウレン(Coptis japonica)が生産するイソキノリン系アルカロイドのベルベリンは一般植物細胞に対して高い毒性を示すことが報告されている。しかし、オウレンの培養細胞自身はベルベリンに対して高い耐性を持ち、その機構にはこの化合物の液胞への輸送・隔離が重要な役割をはたしているとされる。しかしこれだけでベルベリンに対するオウレンの解毒機構を説明することはできない。
そこで我々は、ベルベリン耐性機構の解明を目的として、オウレンcDNAライブラリーをシャトルベクターで作製し、酵母によるファンクショナルスクリーニングを行った。得られたベルベリン耐性遺伝子の一つはgalactinol synthase (CjGolS) をコードしていた。ベルベリンの細胞内含量を調べたところ、CjGolSを発現させた酵母ではベルベリンの細胞内蓄積量がコントロールと比べ40%以下に減少していた。現在、CjGolSがどのようにベルベリン耐性機構に関わっているかについて検討中である。