日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロロフィル代謝とチラコイド膜の形成
*田中 歩草場 信田中 亮一
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p. S010

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抄録
クロロフィルはチラコイド膜に存在する光化学系の主要な構成成分であり、光合成において光捕集や電化分離などの重要な役割を果たしている。そのため、光化学系やチラコイド膜の形成分解はクロロフィル代謝と密接な関係にある。黄化芽生えはクロロフィルを蓄積せず、またチラコイド膜の発達も見られない。緑化が進むにしたがってクロロフィルの合成が始まり、光化学系が形成され、チラコイド膜も発達する。その逆の過程が老化組織で見られる。クロロフィルが減少し、チラコイド膜も消失する。これらの結果は、色素タンパク質複合体がチラコイド膜に存在することを考えると当然の結果である。しかし、クロロフィルの蓄積とチラコイド膜の発達が単に一致しているだけなのか、クロロフィル代謝がチラコイド膜の形成崩壊を積極的に制御しているのか、またそれとは反対にチラコイド膜の形成がクロロフィル代謝を制御しているのかなど様々な可能性が考えられる。
我々は、クロロフィル代謝がどのようにチラコイド膜の形成崩壊を制御しているのかを検討するため、クロロフィル合成や分解の様々な変異株を作成し、葉緑体の発達と崩壊を調べた。その結果、クロロフィル代謝が積極的にチラコイド膜の形成崩壊を制御している可能性を得た。これらの結果をもとに、クロロフィル代謝とチラコイド膜の形成崩壊について議論したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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