抄録
リテラシー(literacy)は読み書き能力という意味であり、遺伝子リテラシーでは遺伝子に関する正しい知識と判断力を指す。遺伝子リテラシーの国民的な修得に向けた試みについて例を挙げて紹介し、科学者の説明責任の一環としても、多くの研究者の参画を促したい。2001年に制定された「教育目的遺伝子組換え実験」等、実習を通じた遺伝子リテラシー教育は普及期にあり、高等学校や大学の教養課程、出前授業、あるいは一般を対象とした公開講座のような形で広く実施されるようになった。日本の高等学校の高い就学率を考えると、将来理系に進学しない圧倒的多数の高校生に対してリテラシー教育を実施することが重要であると考えられるが、全校生徒に対する実施は少ないのが現状である。この原因は単純ではないが、様々な連携によるサポートが可能にするものと考えている。大学等や他の機関との連携、農業高校等や高等学校間の連携、校内における他教科との連携について、例を挙げて紹介したい。一方、一般社会人に対しては、前掲の公開講座の他に、サイエンスカフェ運動が浸透してきた。カフェなどの気軽に参加できる場で科学技術に対して話題提供し、直接的なサイエンスコミュニケーションが展開される。講演者としても参加者の理解や意見を間近に聴くことができる双方向性が最大のメリットであり、今後ますますの普及と発展が期待される。