日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光受容体フォトトロピンの細胞内シグナル伝達機構
*鈴木 友美孔 三根田村 謙太郎木下 俊則島崎 研一郎西村 いくこ長谷 あきら
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p. S057

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抄録
フォトトロピン(phot)は青色光を感知し、光屈性・葉緑体定位運動・気孔開口を誘引する光受容体である。photは、N末端側の発色団結合に関わるLOV領域とC末端側のSer/Thrキナーゼ領域からなる色素タンパク質である。これまでに単細胞緑藻類から高等植物においてphotの存在が報告され、phot情報伝達系に関与する因子が幾つか取得されているものの、詳細な分子機構に関しては未だ不明である。
そこで、フォトトロピン情報伝達系を解明するため、シロイヌナズナphot2に着目し、その細胞内局在及び相互作用因子の詳細な解析を行った。その結果、phot2は青色光依存的にゴルジ体に移行すること、その移行にはphot2のキナーゼ領域のみで十分であることが明らかとなった。phot2キナーゼ領域の過剰発現植物体では、光非依存的な青色反応を示したことから、キナーゼ領域のdominant positiveな機能が推測される。続いて、photと相互作用する因子を酵母Two-hybrid法にて検索したところ、小胞輸送に関与する低分子量G蛋白質ARF1の取得に成功した。詳細な解析によって、photはキナーゼ領域を介してGTP結合型ARF1と特異的に相互作用することを明らかにした。ARF1がゴルジ体に局在することから、phot2の光依存的局在変化との関与が考えられる。
今回はこれらの詳細な結果を報告するとともに、フォトトロピンの初期応答とARF1の役割に関して考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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