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核遺伝子群の転写は、転写量の調節を行う上流調節領域と、転写開始の位置や方向を決定するコアプロモーター領域によって、二重に制御されている。コアプロモーター領域には、一般にTATA ボックスやイニシエーター (Inr) 等のシス因子が存在しており、それらの働きによって転写開始位置が決定されると考えられてきた。しかし、高等植物の光化学系I核遺伝子群では、その殆どがコアプロモーター領域に既知のシス因子を欠いており、また、数十塩基対の範囲にわたって複数の転写開始点が出現するという著しい特徴がある。このため、光化学系I核伝子群では、TATA ボックスやイニシエーター (Inr)に代わる未知のシス因子が、転写開始の位置を決定していると推測される。本研究では、この未知のシス因子を探るため、シロイヌナズナを材料に、種々のキメラプロモーターと形質転換植物を用いた解析を進めた。その結果、転写開始点の下流域に、転写開始点の出現位置の決定に関わるシス因子のあることが示唆された。