日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおける新規リプレッションドメインの同定と、それを持つ転写抑制因子の機能解析
*池田 美穂光田 展隆高木 優
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0008

詳細
抄録

植物においては、転写レベルの遺伝子発現調節が発生や代謝の制御に重要な役割を担っていることが知られている。シロイヌナズナには転写因子をコードする遺伝子が約2000個存在しているが、その中には転写活性化因子のみではなく、転写抑制因子がかなりの割合で含まれ、植物特有の遺伝子発現制御機構には転写抑制因子が大きく関わっていることが示唆されつつある。植物の転写抑制因子に共通する転写抑制ドメインとしては既にEARモチーフが同定され、多くの転写因子ファミリーに存在することが知られている。
今回我々は、ABI3 ファミリーに属する転写因子の解析から、新たな転写抑制因子郡を同定した。この転写因子郡にはEAR-motif類似配列が存在せず、これまでにない新たなリプレッションドメインが保存されていた。この新規のモチーフを含む15アミノ酸残基をCUC2またはAG転写因子のC末端に直結したところ、これらの遺伝子の欠損株と同様に子葉の融合、あるいは、八重咲きの形態が観察された。このことから、このドメインはEAR-motifと同様に単独で転写抑制活性を付与することが確認された。また、このドメインはABI3 ファミリー以外にもHSFを含む複数の転写因子ファミリーに存在していた。本大会ではこのドメインを有する複数の転写因子ファミリーの転写抑制活性の有無、および、一つの転写抑制因子を例として転写抑制因子の生体内での機能についても報告する。

著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top