日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネのアルミニウム耐性に関与する細菌タイプABCトランスポーターの解析
*馬 建鋒山地 直樹黄 朝鋒三谷 奈見季
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0026

詳細
抄録

イネはイネ科植物の中でアルミニウム耐性の強い種とされているが、その耐性機構についてはまだ明らかにされていない。我々はこれまでにイネアルミニウム感受性突然変異体als1を利用して、原因遺伝子の単離を行った。その結果、この遺伝子はABCトランスポーターのATP結合ドメンのみをコードしていることが分かった。今回は膜結合ドメンをコードする遺伝子Als3を同定したので、報告する。玉ねぎの表皮細胞にリポーター遺伝子との融合遺伝子を一過的に発現させて細胞内局在性を観察したところ、Als3は細胞膜に局在していたが、Als1は単独の場合、細胞内に顆粒状に存在していた。しかし、Als1とAls3をともに発現させた場合はAls1も細胞膜に移行することが分かった。また酵母two hybridでも両タンパク質が相互作用していることを確認した。Als1とAls3遺伝子はともに根で発現し、その発現量はアルミニウムによってすみやかに増加する。面白いことに、als1変異体では、Als3遺伝子の発現はアルミニウムに応答しなかった。また抗体染色の結果、Als1とAls3とも根のすべての細胞に局在していた。これらの結果はAls1とAls3が細菌タイプのABCトランスポーターのように、別々に翻訳された後、複合体として機能していることを示唆している。現在、このトランスポーターの輸送基質の同定を試みている。

著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top