抄録
昨年の年会で報告した、ネットワーク解析に基づく共発現予測アルゴリズムを、公開されているシロイヌナズナDNAマイクロアレイデータセット(1,388枚)に適用した。その適用結果に基づき、22,263遺伝子の中から、互いに高い相関を示す約300グループの遺伝子群に注目した。これらの遺伝子群は各群内で機能的に関連していると考え、機能的な関連性を示す個々の生物プロセスに対応すると仮定した。そこで、共発現解析に基づく生物プロセスの予測データベースを作成して一般公開した。従来の植物共発現解析データベースでは、ユーザーが注目する遺伝子群に対する共発現遺伝子を検索できる(遺伝子群対遺伝子群)が、本データベースは、あらかじめ生物プロセスに共発現遺伝子群を対応付けており、ユーザーは注目遺伝子群が関与する生物プロセスを検索することができる(遺伝子群対生物プロセス)。各プロセスはネットワークトポロジーに基づく共発現性の強い順に、対応する共発現ネットワーク、遺伝子機能情報、代謝経路との関連等に関して順次公開している。