日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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円石藻Emiliania huxleyiの亜セレン酸取り込み機構の解析
*坂本 航新家 弘也鈴木 石根白岩 善博
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p. 0167

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抄録
円石藻Emiliania huxleyiは、細胞表面に炭酸カルシウムを主成分とする円形の結晶(円石)を持つことを特徴とする海産性単細胞藻類である。E. huxleyiは生育に硫黄のアナログ元素であるセレンを必須とし、数種類のセレノタンパク質を持つことがわかっている。E. huxleyiは亜セレン酸を低親和性の受動輸送系と高親和性の能動輸送系で取り込んでいる。本研究は、様々な条件下で亜セレン酸の取り込み活性の特性を調べた。
亜セレン酸を十分与えて培養した細胞を亜セレン酸欠乏の条件に移し、亜セレン酸取り込み活性を測定したところ、亜セレン酸に対するKmが3日間で約1/6まで低下した。一方Vmaxの値には差が見られなかった。また、セレン欠乏条件下の細胞に10 nMの亜セレン酸を添加すると、24時間で亜セレン酸取り込み活性は約半分に低下した。これらの結果から、セレン欠乏条件下では亜セレン酸輸送体の発現の誘導が起こっている可能性が示唆された。
また、亜セレン酸の取り込み活性を、硫酸、亜硫酸、セレン酸がそれぞれ1 mM存在する条件下で測定したところ、硫酸は亜セレン酸の取り込みに影響を及ぼさなかったが、亜硫酸およびセレン酸の共存下では亜セレン酸取り込みのKmは約3倍に上昇した。これらの結果から、亜セレン酸輸送体は亜硫酸およびセレン酸によって競合的に阻害される可能性が示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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