抄録
CDP-コリン合成酵素(CCT)はCDP-コリン経路によるホスファチジルコリン(PC)生合成の律速酵素であり、シロイヌナズナでは2つのCCT遺伝子CCT1およびCCT2にコードされている。われわれは、CDP-コリン経路によるPC合成の意義を明らかにするために逆遺伝学的研究を行ってきた。その結果、T-DNA挿入変異株cct1-1およびcct2、ならびに二重変異株cct1-1 cct2は野生型と変わらない栄養生長をしめすが、cct1-1株の2世代目やcct1-1 cct2株の1世代目で雄しべが雌性化するホメオティック変異が観察された。この形態異常は、世代を重ねることでより顕著になることから、エピジェネティックな変異である可能性が考えられた。そこで、花の形態形成におけるABCモデルのBクラス遺伝子ついて、野生株、cct1-1株、cct1-1 cct2株におけるメチル化レベルをバイサルファイト法で比較し、Bクラス遺伝子のメチル化レベルを調べた。Bクラス遺伝子のメチル化レベルとホメオシスの関係について考察する。