日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光化学系I-Chl a結合部位に結合したChl dのアンテナ特性
*森川 陽介大竹 伸也小林 正美池上 勇
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p. 0317

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抄録
PS1RC(PsaA/B) complexからエーテル処理によってChl aの大部分を除去し、P700当たり約13分子のChl aしか含まない標品を調製した。(1)これにChl a より長波長側に赤色帯吸収を持つChl dをリン脂質PGと共に加え、Chl dが結合した標品を得た。(2)Chl dは添加量の約1/4が結合し、添加量の約1/3が結合するChl aに比べて、結合の親和性はやや低かった。(3)Chl dの結合によってP700の光酸化初速度が増加したが、その光エネルギー伝達効率は同様な方法によって結合させたChl aの約1/2~1/3であった。(4) Chl dを結合したPS1 complexは、Chl aによるケイ光(Fl680)と共に、Chl dによるケイ光(F706)が観察された。(5)これらのケイ光にたいするケイ光励起スペクトルより、Chl aから結合したChl dへの励起エネルギー移動が認められた。また、Chl dからChl aへの励起エネルギー逆移動も認められた。以上の結果から、結合したChl dはenergy sinkとして抽出されずに残っているChl aとの間で励起エネルギー平衡状態にあり、吸収した光エネルギーをP700へ伝達し得ると推定された。
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© 2008 日本植物生理学会
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