日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光反応中心の酸化還元電位に依存した電子伝達反応の追跡の試み
*石井 秀和柿谷 吉則小山 泰
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p. 0320

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抄録
紅色光合成細菌の光反応中心(RC)では、電荷分離反応に始まる一連の電子伝達反応が起こっており、この反応は電子の蓄積状態を反映する酸化還元電位によって支配されていることが期待される。そこで今回は、RCの酸化還元電位を化学的/電気化学的に制御し、RCの電子吸収スペクトルがどのように変化するのか追跡した。Rba. sphaeroides R26.1からRCを単離精製した。化学的に電位を制御する場合には、酸化剤としてアスコルビン酸Na,還元剤としてジチオナイトを用いた。電気化学的に電位を制御する場合には、RCと電極との電子伝達を媒介するためのメディエーターとして“フェロセン及びその誘導体”を加え、ポテンシオスタットにより電圧を変化させながら、電子吸収スペクトルを測定した。その結果、電圧値を大きくすることでRCは酸化し、小さくすることで還元することを確認した。すなわち、酸化還元電位を制御することにより、RCの酸化および還元を可逆的に制御することに成功した。現在、RCの電子伝達反応を追跡するために、RCの酸化還元電位を制御しながら、スペシャルペアバクテリオクロロフィルを励起して、近赤外領域のサブマイクロ秒時間分解吸収スペクトルの測定を試みているところである。
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© 2008 日本植物生理学会
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