日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新規核相増加変異株を用いた核内倍化抑制機構の解析
*石田 喬志Stacy Nicola J.杉本 慶子
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p. 0379

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抄録
核内倍加は核内の染色体が細胞分裂を経ることなく複製される現象で、動植物を含む真核生物に広く見られる。未分化な細胞の核相は2Cもしくは4Cであり細胞分裂を繰り返すが、分化後の細胞では核内倍加によって核相が上昇し細胞の体積も増大する。増加した核相と細胞サイズの間にはしばしば正の相関関係がみられることから、核内倍加の制御が細胞の大きさを規定する重要な要素であると考えられているがその分子機構には未解明の部分が多い。我々は、この機構を解明するために核相が変化している変異体の単離を目指したスクリーニングを行い4種の変異体を単離した。これらの変異体は、野生型植物体では通常32Cまでである核相が128Cまで増加していた他、SAMや気孔系譜細胞など未分化で小さい細胞が巨大化していたり胚軸の細胞列が判別できなくなっているなど非常に興味深い表現型を示した。これらの表現型から、野生型植物体においては“核相の増加を抑制する機構”が存在し、新規変異体ではその機能が失われているのではないかと考えている。また、変異体における異常な核相を持った細胞ではアイデンティティ形成にもなんらかの異常が生じているのではないかと考え研究を行っている。
本発表ではこれら新規変異体の解析から得られた結果を元に、核内倍加制御機構の新たな知見と、核内倍加と分化の制御機構の関係性について議論したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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