日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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液胞とPVCの融合を制御するシロイヌナズナSNARE複合体の解析
*岡谷 祐哉海老根 一生郷 達明植村 知博中野 明彦上田 貴志
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p. 0398

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抄録

我々は,小胞輸送,特にエンドサイトーシスが植物の高次現象に果たす役割を明らかにするべく,エンドソームに局在するR-SNAREであるVAMP727に注目し研究を行っている.VAMP727はシロイヌナズナで唯一エンドソームにほぼ特異的に局在することから (Ueda et al., 2004; Uemura et al., 2004),エンドサイトーシスおいて重要な機能を担うと考えられるが,vamp727 変異体に目立った表現型は見られない.そこで,PVCと液胞に局在するQa-SNARE,VAM3との遺伝学的相互作用を調べたところ,vamp727vam3 が胚致死となる一方,VAMP727 の過剰発現がvam3 の表現型を抑圧することが明らかとなった.さらに,細胞内局在解析の結果,これら2つのSNAREが液胞とPVCが接する場所で共局在することも見いだした.VAM3はVTI11,SYP51 (いずれもQ-SNARE) と複合体を作ることが報告されているが (Sanderfoot et al., 2001; Yano et al., 2003),VAMP727はこれら全てと共免疫沈降する.これらの結果から,VAMP727がVAM3,VTI11,SYP51と複合体を形成して機能するとともに,この複合体が液胞とPVCの融合を制御することにより,胚発生に不可欠な役割を果たしていることが明らかになった.

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© 2008 日本植物生理学会
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