日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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vam3の抑圧変異体の選抜と解析
*海老根 一生岡谷 祐哉植村 知博中野 明彦上田 貴志
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p. 0399

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抄録
細胞内では小胞を介してさまざまな物質の輸送が行われており,SNAREとRabはこの小胞と標的膜の融合を制御する分子である。特にRab5は,動物細胞において,エンドソーム同士の融合に加え,エンドソームの運動やクロマチンリモデリングなど様々な現象にも関与することが知られていることから,植物においても多様な機能を担っていると予測される。近年のゲノム解析から,植物には動物のRab5オルソログとは別に脂質修飾部位やエフェクタードメインの配列の異なるARA6グループが存在し,これが陸上植物に広く保存されていることが明らかになった.我々は,このARA6グループが植物の形態形成に果たす役割を明らかにすることを目的とし研究を行っている.
シロイヌナズナを用いた解析では,ARA6のT-DNA挿入変異体では顕著な表現型が見られなかった.一方で,液胞に局在するSNAREであるAtVAM3/SYP22のT-DNA挿入変異体では,植物の矮化,花成遅延,ミロシン細胞分化昂進などの多面的な表現型が見られることが報告されている.われわれは,ara6がこれらvam3の表現型をほぼ完全に抑圧することを見いだした.そこで現在,ARA6と協調して機能する因子の単離とその下流現象の分子機構を明らかにすることを目的とし.vam3抑圧変異体の選抜と解析を行なっている.今大会ではこれら抑圧変異体の解析結果について報告する.
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© 2008 日本植物生理学会
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