日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

貯蔵タンパク質の効率的な液胞選別輸送にはレトロマーが必要である
*山崎 美紗子嶋田 知生高橋 英之西村 いくこ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0407

詳細
抄録
高等植物の種子は大量の貯蔵タンパク質を蓄えるため,液胞への選別輸送を登熟期に盛んに行っている.私たちはシロイヌナズナ種子を用いて液胞選別輸送に関わる分子を次々と同定することに成功している.その一端として順遺伝学を用いてVPS29が貯蔵タンパク質の選別輸送に機能していること明らかにした.VPS29はVPS35,VPS26,VPS5/17タンパク質と共にレトロマー複合体を構成し,液胞選別輸送レセプター(VSR)のリサイクルに機能していると考えられた.本研究ではレトロマーと液胞選別輸送の関係を明らかにするため,VPS35に注目し逆遺伝学的解析を行った.VPS35はレトロマーがリサイクルするカーゴの選別を行うと考えられている.シロイヌナズナには3つのVPS35遺伝子候補が見出されたが,これらの単独変異体にはなんら表現型が認められなかった.そこで二重変異体,三重変異体を確立し,3つのVPS35遺伝子(VPS35a,VPS35b,VPS35c)は貢献度に順位があるが,機能を重複していることが分かった.また,レトロマーは貯蔵タンパク質の輸送のみならず,液胞の形態形成,胚発生,成長,老化にも重要であることが示唆された.これらの結果から細胞内輸送,植物の成長過程にレトロマーが果たす役割とカーゴの関係について考察する.
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top