日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのCa2+流入制御因子候補OsMCA1の単離とストレス応答における機能解析
西川 大輔後藤 真理子来須 孝光山中 拓哉櫻井 康博中川 祐子片桐 健飯田 和子篠崎 一雄飯田 秀利*朽津 和幸
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p. 0464

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抄録
植物が機械刺激を感知し応答する過程でCa2+動員の関与が議論されているが、その分子機構は殆ど未解明である。シロイヌナズナで2種同定された機械刺激受容に関与すると考えられるMCAファミリーは、イネゲノム中にはOsMCA1が単一遺伝子として存在する。本研究では、OsMCA1の過剰発現株及びRNAi法による発現抑制株を作成し、表現型や細胞内Ca2+動態の変化を解析することにより、機能解析を進めた。OsMCA1は、酵母の機械刺激作動性Ca2+チャネル候補Mid1の変異株を部分的に相補した。OsMCA1の発現は、植物体の広範な組織で見られた。通常生育下における植物体を観察したところ、抑制株においては生育遅延、穂軸の短化等の明確な表現型が見られた。OsMCA1発現抑制株にアポエクオリンを発現させた培養細胞株を確立し、種々の刺激に対するCa2+動態の変化を解析したところ、エリシター等により誘導されるCa2+動員には、野生型と有意な差が見られなかったが、低浸透圧刺激により誘導される細胞外からのCa2+流入を含む細胞質への一過性のCa2+動員の抑制が見られた。低浸透圧刺激により誘導される下流の反応に対するOsMCA1の発現抑制の影響や、OsMCA1過剰発現株の解析結果も併せて、OsMCA1のCa2+流入制御や浸透圧応答等のストレス応答における役割について議論する。
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© 2008 日本植物生理学会
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