日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusのNTRCは2-Cys peroxidredoxin BAS1への電子供与体として機能する
*末岡 啓吾山崎 映明檜山 哲夫仲本 準
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p. 0482

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抄録
2-Cys peroxidredoxin (2-Cys Prx)は過酸化水素などの活性酸素種をS-S/-SHの交換反応を介して還元・無毒化する酵素である。この反応には2-Cys Prxに還元力が供給される必要があるが、シアノバクテリアの2-Cys PrxであるBAS1では未だこの還元剤については不明である。本研究において、我々はtll1454遺伝子産物とtll1924遺伝子産物の複合体を、酸化ストレス時に誘導されるNADPH dehydrogenase活性をもつ酵素として好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusから初めて精製した。相同性検索の結果、tll1454遺伝子産物はシアノバクテリアSynechococcus PCC7942のBAS1、tll1924遺伝子産物は高等植物のNTRCと相同性があることがわかった。NTRCは構造上peroxiredoxin reductaseの特徴を持ったタンパク質である。Hisタグを付加したThermosynechococcus elongatusのBAS1とNTRCを大腸菌から精製しin vitroでの解析を行ったところ、BAS1とNTRCの混合物はNADPHの還元力を使って過酸化水素を還元した。さらにこの反応にはNTRC、BAS1ともに必須であったことから、Thermosynechococcus elongatusにおける活性酸素種の還元・無毒化の過程で、NTRCがBAS1に還元力を供給していることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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