2023 年 50 巻 6 号 p. 560-564
【目的】対策型胃癌検診において2016年から内視鏡検査が開始され、検診の精度向上が期待されている。対策型胃癌内視鏡検診は、内視鏡検査を実施した医療機関で行う1次読影と別な医療機関で実施する2次読影から構成されている。本研究の目的は、胃癌内視鏡検診の2次読影におけるAI診断の可能性を検討することである。
【方法】長崎県にて実施した対策型胃癌検診の画像データを用いて、構築した胃癌内視鏡診断AI modelにて画像診断を行った。AI modelは胃癌疑いがある画像 (異常あり) と正常画像 (異常なし) に分類する判定を行った。評価項目は、患者単位の胃癌の感度、特異度、画像単位の胃癌の感度、特異度、異常あり判定の画像枚数、異常なし判定の画像枚数である。
【結果】65人平均内視鏡画像枚数66.7枚 (標準偏差9.4枚) の受診者の内視鏡画像を解析した。患者単位の胃癌の感度は100% (6/6人)、特異度は20.3% (12/59人) であった。内視鏡画像単位の胃癌の感度は60.6% (54/89枚)、特異度は95.7% (4,067/4,252枚) であった。異常あり判定の平均内視鏡画像枚数は3.6枚 (標準偏差4.1枚)、異常なし判定の平均内視鏡画像枚数は63.1枚 (標準偏差8.8枚) であった。
【結論】胃癌内視鏡診断AI modelは、対策型胃癌検診における2次読影に有用な可能性が示唆された。