抄録
双子葉植物の11Sグロブリン型種子貯蔵タンパク質ファミリーは、小胞体で前駆体として合成され、貯蔵液胞内でプロセシングを受けて成熟型として蓄積する。このファミリーではバイキュピン型の立体構造が保存され、自己会合して三量体を形成し、その小胞体からの輸送にはアミノ酸配列と立体構造が関与していることが推定されている(Maruyama et al., 2006)。イネの11Sグロブリン型種子貯蔵タンパク質であるグルテリンは、ダイズグリシニンと約40%のアミノ酸レベルでの相同性を持ち、イネ種子内で発現させたダイズグリシニンは、グルテリンとヘテロ三量体を形成し、ホモあるいはヘテロ三量体でPB-IIに輸送されプロセシングも受けることが知られている。しかし、グルテリンのホモ三量体の形成の有無、自己会合できるのか、あるいはシャペロン等の関与を必要とするのかは明らかになっていなかった。我々は、ショ糖密度勾配遠心法およびBlue-Native PAGEにより未熟種子中(in vivo)のグルテリンの三量体形成を明らかにした。また、人工合成したグルテリンがホモ三量体を形成すること(in vitro)も明らかにした。本報告は、単子葉植物であるイネにおいても、双子葉植物と類似あるいは相同な輸送システムが存在する可能性を示唆している。
*Maruyama et al. (2006) Plant cell, 18, 1253