日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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膜結合型プレニル基転移酵素の触媒機能と基質結合ドメインの解析
*矢崎 一史小原 一朗室谷 歩福島 伸弘
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p. 0535

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抄録
プレニル基転移酵素は広く生物界に存在するが、プラストキノン生合成やフラボノイド等のプレニル化に関わるものは膜結合性であり、クローニング例も少なく分子レベルでの機能解明はほとんどなされていない。本研究では、p-ヒドロキシ安息香酸(PHB)とゲラニルジリン酸(GPP)を基質とするプレニル基転移酵素LePGT1をモデルとし、酵素機能に重要と考えられるアミノ酸に部位特異的突然変異を導入し、酵母において変異酵素を発現させた。それらの酵素活性と両基質に対する親和性を調べたその結果、分子内に保存される3つの領域のうち、GPPの結合に関与すると予測されていた領域Iのみならず、領域IIIが協調的にプレニル基質の認識に関わっていることが判明した。同様に、本サブファミリーに保存されるが故にPHBの結合部位と考えられていた領域IIIのみでなく、領域IもPHBの結合に重要であることが示された。そこで、これら生化学的データを説明できる分子モデルを作成した。結晶構造が解析されているFPP合成酵素を元に分子モデリングを行った結果、GPPとPHBが隣接し、さらに、活性に必須なアミノ酸のほとんどが基質結合ポケット内側に配向するモデルが得られた。このモデルでは、基質特異性を担うドメインの解析データもよく説明できるものであり、膜結合型プレニル基転移酵素の3次元構造として信頼性の高いものであると考えられた。
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© 2008 日本植物生理学会
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