抄録
NAD(P)H dehydrogenase(NDH)は光合成明反応においてNAD(P)Hの還元力を基にプラストキノンを還元する役割を担い、光合成明反応で生産されるNADPHとATPの生産量を調節する。NDHは高等植物およびシアノバクテリアで保存されており、高等植物およびシアノバクテリアにおける解析によりNDH関連遺伝子が同定さてきたが、電子供与体認識部位を始めとするNDH複合体の全サブユニットの同定には至っていない。
我々のグループはシロイヌナズナの核コードNDHサブユニットの遺伝子発現プロファイルを基に新規NDH関連遺伝子NDH-Dependent cyclic electron Flow(NDF)を選抜し、T-DNA挿入株の解析により同定に成功した。なかでもNDF2は弱いホモログ遺伝子NDF5を有しており、NDF5がNDHに関連する可能性が考えられた。
本発表では、NDF5がNDF2と同様にNDH活性に関与しており、NDH活性にはNDF2、NDF5の両者が必要である事を示す。また、NDF2、NDF5は高等植物のみに存在しており、NDF2、NDF5は進化の過程で高等植物が獲得した新規NDH関連遺伝子である事が示唆された。現在、Blue Native PAGE等の解析を行い、NDF2、NDF5とNDH既知遺伝子との関係について検討している。